良く今の日本は生産性を向上すれば一気に立ち直れる。
なんて事を耳にする。
そんな事はみんな分かっている。
だけどできないんだなあ、それが。
■ 何が起きたか?
バブル期の日本、工場では争って合理化だの省力化だのに手を付けた。
皆が大きな投資を行い、生産性の向上を目指した。
でも、一部の会社が海外生産を始め、安価な製品の輸入を始めた。
賃金の安い国で人海戦術で物を作る。
これが安いんだな。
海外へ出た企業の一人勝ちとなる。
他の企業もこぞって海外へ。
日本国内では多額の投資をした自動化機器の償却が終わらない。
さらに多品種小ロットの製品へ移行していく。
量産型の自動機では対応できず、ここはロボットだ。と言う事になりさらに投資を続けた。でも、結局、安い賃金にはかなわない。
もちろん国内の方が品質は良い。だけど消費者は値段しか見ない。
顛末は日本国内での生産はほとんど無くなり、海外に生産の座を奪われる形になった。
それだけならまだ良い。
海外で人海戦術での生産、ライバル社も同様に海外生産。
ドングリの背比べとなり利益率が薄い。
この状況で新製品の開発など出来るはずもなく、旧来の製品から抜け出せない。
つまり技術の進歩が止まった。
さらに大企業の株は外資に買われ、短期の儲けを追わなければ、株主総会が乗り切れない。つまり外資への配当を稼ぐために企業は生産を続け、従業員や下請けに金を出す事を渋るようになった。
この状況で何年も先を見越した製品開発など出来るはずもなく、どんどんと人類の進歩は何十年も足ふみ状態が続いている。
最近、これに脱炭素と言う足枷が嵌められた。
過去に公害と呼ばれる有害物質が放出され環境が破壊された時期があった。
しかし二酸化炭素は自然に存在する物であり植物が光合成を行う時に使用する重要な原材料である。
このまやかしに乗ってさらに産業を衰退させようとしている。
これは別の意図で行われている工作である。
この件については別途話したいと思う。
ここでは、産業を阻害する要素として記憶に留めてもらいたい。
■ 生産性の向上について
まず、工業系とは別に医療や介護の場面での生産性向上も必要であると言われる。
ここで間違ってはいけないのは、医療や介護は必要が無い方が人間にとって幸せである。
つまり元気で過ごせればそれに越した事はない。
生産性の向上より介護を必要としない体、病に侵されない生活が送れるようにする事が先決である。
要介護者が半分になればそれだけ現場への負担は少なくなる。
病気に関しても同じである。
まず健康を考えれる事が重要である。
これとは別に物づくりの現場において生産性の向上は無くてはならない物となる。
先に述べたように、高額の投資を行い、生産性を向上した場合、多くのデメリットを抱えてしまい、設備の固定化により身動きできなくなる。つまり設備の償却が逆に足かせとなってしまう。
では、何をすればよいのか?
■ 生産性の向上は楽をする事を考えればよい
生産設備の差し替えには大きな投資が必要となる。
では何をするか?
まず経営者の考え方が重要となる。
1.合理化・省力化が成功すればプラス
2.合理化・省力化が失敗すればプラスマイナスゼロ
3.合理化・省力化をやらなければマイナス
これを忘れないようにしなければならない。
もし、失敗してもそれが経験となり先に進む事が出来る。
これを経営者が理解していなければ、生産性の向上はやらない方が良い。
もう一つ重要なのは社員の全員に興味を持たせるように誘導する事。
その為には合理化・省力化を考えるのではなく、「何が大変か?どうすれば楽が出来るか?」を考えさせる。
利益を上げるのではなく、あくまで従業員が楽になる事を考える。
そして肝心な事は省力化・合理化を担当する従業員を置く事。
ある程度大きな会社なら生産技術があると思うけど、小さな会社なら誰か一人、通常作業の合間に。経営者は仕事量の調整を。
ここで重要なのは経営者が直接やってはいけない。
もしやりたければ、別の案件で。
朝礼で経過の報告も忘れずに。
一気に大きな改善を目指してはいけない。
小さな事、例えば金銭で表せない小さなことでも良い。
手が痛くなくなった、腰が楽になった。こんな事でも良い。
積み重ねれば必ず結果に結びつく。
実際に作業をしている作業者の方が良いアイデアを出す物です。
■ 場所も金
いろいろやっていると工場や店が手狭になってくる事も多いと思います。
「場所も金」この考え方をすれば意外と良いアイデアが出てくるかも。
場所が空けば台車の動きがスムーズになったりします。それだけでもい年間のロスを考えれば効果があります。
いたるところ改善が落ちています。
見逃さずに拾ってください。
いろいろと書きましたが、改善にはまだまだ方法はあります。
思いもよらない改善も。
隠居は工場専門なので商店や物流などは良く分かりませんが、かならず改善の種が落ちています。
大きく育てて下さいね。www
ものづくり日本、力を貯めて、小さく小さく屈んで、一気に大きく飛び上がりましょう。